LG以外のスマートテレビも画面に映る内容を追跡してユーザーをスパイしている、どうすれば止められるのか?

LG製スマートテレビが、ユーザーの視聴履歴などをネットワーク経由で外部へ送信していることが明らかになりました。しかし、画面に映るコンテンツを収集しているのはLGだけではありません。製品レビューサイトのRTINGS.comが主要メーカーのテレビやストリーミング端末を調査したところ、画面に映る内容を自動で識別する技術「ACR(自動コンテンツ認識)」は内蔵アプリだけでなく、HDMIで接続したゲーム機やPCの映像にも反応する場合があり、データ収集を停止する設定も分かりにくいことが判明しました。
LG Isn't the Only TV Company Spying on You - YouTube

Why Smart TVs Track What You Watch: And Why It’s So Hard To Stop Them - RTINGS.com
https://www.rtings.com/tv/learn/research/smart-tv-data-privacy
テレビが過去20年間で大幅に安くなった背景には、メーカーが本体の販売だけでなく、広告やサービス、視聴データから継続的に収益を得るビジネスモデルへの転換があります。例えば、ウォルマートがVizioを23億ドル(約3500億円)で買収した時点で、Vizioはテレビなどのデバイス事業の粗利益がマイナスだった一方、広告やサービスを扱う事業が利益を生み出していました。
この収益構造を支える技術の1つがACRです。ACRは画面上の映像や音声を一定間隔で取得して「フィンガープリント(デジタル指紋)」と呼ばれる特徴データを作り、サーバー上のデータベースと照合してコンテンツを特定します。テレビのシステム全体で動くため、Netflixなどの内蔵アプリだけでなく、地上波放送やHDMI入力、USBメモリから再生した映像も認識できます。

RTINGS.comは、Samsung、LG、ソニー、ハイセンス、TCL、Amazon、パナソニック、Vizio、Rokuなどのテレビ、スマートモニター、ストリーミング端末の計15台を調査しました。各機器でACR関連のデータ共有を許可した場合と拒否した場合について、Wiresharkを使ってネットワーク通信の変化を比較しました。

通信は暗号化されていたため、送信内容そのものは確認できませんでしたが、接続先や通信のタイミング、通信量を調べたところ、Samsung S95F、ソニーのBRAVIA 8 II、LG G5ではACR関連サービスへの周期的な通信を識別できました。関連設定を無効にすると、この通信は停止するか大幅に変化しました。

一方、TCL QM8Kなどでは、ACR関連の通信をほかのバックグラウンド通信から切り分けられませんでした。設定を無効にしても接続先や通信量に明確な変化はなく、データ収集が本当に停止したかどうかは確認できなかったとのこと。

LG G5では、ホーム画面での待機中、内蔵アプリの利用中、USBメモリからの動画再生中にACR関連とみられる通信が発生しました。さらに、HDMIで接続したPlayStation 5やノートPCを使った際には通信の頻度とデータ量が特に増加したとのこと。送信内容までは特定できないものの、テレビが外部機器から入力された映像も把握しようとしている可能性がうかがえます。

視聴データはIPアドレスや属性情報などと組み合わせることで、世帯の関心を推測したり、広告の効果を測定したり、ターゲティング広告を表示したりするために利用できますが、ACR関連の設定名はメーカーごとに異なり、ユーザーが見つけにくくなっています。例えばSamsungでは「Viewing Information Services」、Vizioでは「Viewing Data」、LGでは「Viewing Information Agreement」、ソニーでは「Samba Interactive TV」と呼ばれています。また、画像や音声を改善する機能として提示されたり、包括的な利用規約に組み込まれたり、初期設定後にしか無効化できなかったりする場合もあります。
特にVizio VQD65R-10では、活動データの共有などに同意しないと内蔵アプリを含むスマート機能を利用できませんでした。一度与えた同意を撤回するには、テレビを工場出荷時の状態へ初期化する必要もありました。

テレビによる送信を確実に止める方法は、テレビをインターネットに接続せず、HDMI入力専用のディスプレイとして使うことです。ただし、内蔵ストリーミングアプリなどは利用できなくなります。
この場合でも外付けのストリーミング端末を組み合わせれば、動画配信サービスを利用しつつ、テレビメーカーがゲーム機やPCを含む画面全体の利用状況を把握することは防げます。調査対象の中ではApple TV 4Kのプライバシー設定が比較的明瞭でしたが、アプリや端末事業者によるデータ収集までなくなるわけではありません。
RTINGS.comは、設定画面で「ACR」「視聴データ」「視聴情報」「インタラクティブサービス」「拡張視聴」「コンテンツ認識」などを探し、不要であれば無効にするよう勧めています。ただし、利用者が複雑な設定を探したりスマート機能を諦めたりしなくても済むよう、データ収集への同意を明確かつ任意にし、簡単に撤回できる仕組みが必要だと指摘しています。
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in 動画, ハードウェア, ソフトウェア, Posted by log1i_yk
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