サイエンス

IBMの量子コンピュータがスーパーコンピュータで100年かかる計算を19秒で完了


IBMの量子プロセッサー「Nighthawk r2」が、量子優位性の初期実証に向けた代表的なベンチマークにおいて、わずか19秒で100万個のサンプルを生成したことをアメリカの理論凝縮系物理学者が報告しました。これは、スーパーコンピュータでも約100年かかると推定される作業量とのことです。

[2609.28657] Quantum computational advantage in random-circuit sampling on IBM superconducting quantum computers
https://arxiv.org/abs/2609.28657

IBM's Quantum Computer Completes in 19 Seconds What Could Take a Supercomputer a Century : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/ibms-quantum-computer-completes-in-19-seconds-what-could-take-a-supercomputer-a-century

アメリカの量子ソフトウェア・アズ・ア・サービス(QSaaS)開発企業であるBlueQubitに所属する理論凝縮系物理学者ティグラン・セドラキアン氏が率いる研究チームは、市販され広く利用可能な量子プロセッサであるNighthawk r2を用いた「ランダム回路サンプリング」の結果を公開しました。ランダム回路サンプリングとは、量子優位性の初期実証に向けた代表的なベンチマークで、量子コンピュータにランダムに作った複雑な計算をさせることでその結果として出てくるビット列を大量に取り出すテストを指します。


量子ビットの場合、「0」と「1」だけではなく、2つが重なり合った状態も取ることができるため、古典計算とは異なる情報処理が必要になります。量子ビット数と演算回数が増えるにつれて、古典コンピュータで量子コンピュータと同じ結果を再現するために必要な計算量は途方もない量に増えていきます。

実験では、61の量子ビットを選び出し、ランダム回路に最大40サイクルまでかけました。これは、1つの出力振幅を計算するだけでも約1022回の複素演算が必要になると見積もられています。さらに、100万個のサンプルを最先端のスーパーコンピュータ上で収集する場合、古典的なシミュレーションでは約110年分の計算時間に相当すると算出されています。


一方で、Nighthawk r2を用いた量子コンピュータでは、36サイクルの結果で100万個のサンプル収集を19秒で完了したと研究者らは報告しました。なお、この結果はあくまでランダム回路サンプリングの場合でスーパーコンピュータと量子コンピュータを比較した結果であることに注意が必要です。

記事作成時点では今回の研究結果は査読を受けておらず、プレプリント版が公開されているのみとなっています。研究チームは「これは市販され広く利用可能な量子プロセッサ上で、一般的なランダム回路サンプリングによる量子優位性を実証した最初の例であり、ほとんどの非専門家の量子コンピュータユーザーが容易に再現できます」と述べています。

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in ハードウェア,   ソフトウェア,   サイエンス, Posted by log1e_dh

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