サイエンス

植物なのに日光を必要としない「悪魔の花」を科学者らが発見

by Neeranuch Taosiri

ほとんどの植物は光合成によって日光から栄養を作り出しており、生存において日光は必要不可欠です。ところがタイの研究チームが発見した新種の植物は、植物であるにもかかわらず日光を必要としておらず、その黒々とした怪しげな外見から「悪魔の花」を意味する名前が付けられました。

Thismia daemona (Thismiaceae), a new species from Thailand supported by morphological and molecular evidence
https://phytokeys.pensoft.net/article/202868/

New “devil flower” species discovered in Thai national park | Blog
https://blog.pensoft.net/2026/09/02/new-devil-flower-species-discovered-in-thai-national-park/

Scientists Discovered a Bizarre 'Devil Flower' That Doesn't Need Sunlight : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/scientists-discovered-a-bizarre-devil-flower-that-doesnt-need-sunlight

タイのチュラロンコン大学やプリンス・オブ・ソンクラー大学の研究チームは2025年に、タイ西部にあるトンパープン国立公園で新種の植物標本を採取しました。この植物は標高約930~970mの、落ち葉や小さな竹に覆われた地面で見つかりました。

以下の写真が、生息地で撮影された新種の植物です。地面から突き出た花のほとんどが黒色で、鮮やかな赤やオレンジ色の斑点の上にドーム状の冠があり、最上部には3本の角のような突起があります。

by Neeranuch Taosiri

調査の結果、この植物は「タヌキノショクダイ」と呼ばれる種類の仲間であることが判明しました。タヌキノショクダイは東南アジア・ニューギニア島・オーストラリア・ニュージーランド・日本・アメリカなどに分布し、菌従属栄養植物(腐生植物)であることが知られています。

菌従属栄養植物とは、葉緑体で光合成を行って栄養分を作り出す一般的な植物とは異なり、地下の菌類と共生して必要な炭素や栄養素を得ている植物のことです。この生活様式のおかげで、タヌキノショクダイは薄暗い森の地面で生存することが可能であり、花を咲かせて実を付ける時期だけ地上に姿を現すとのこと。

今回発見された新種のタヌキノショクダイは、その特徴的な外見や神秘的な生活様式から、「悪魔の花」を意味する「Thismia daemona」という名前が付けられました。

by Sahut Chantanaorrapint

地面から突き出した花を含めたThismia daemonaの高さは約12.5cmに達し、黒々とした花の下には毛の生えた淡い褐色の根が伸びています。黒色の花には肉厚の赤色やオレンジ色の部分があり、その中には半透明の雄しべが収められており、ドーム状の構造の上には3本の細長い突起が生えています。


一般にタヌキノショクダイは低地の湿度が高い森林に生息していますが、Thismia daemonaが発見されたのは標高930~970mの高地です。論文の共著者であり、プリンス・オブ・ソンクラー大学の植物学者であるサハット・チャンタナオラピント博士は、「トンパープン国立公園でThismia daemonaを発見したことは大きな驚きでした」と語っています。

また、形態学的特徴やDNA検査の結果、Thismia daemonaはタヌキノショクダイの中でも「Geomitra」というに分類されることが判明。これまで、Geomitra節の仲間はマレー半島ボルネオ島スマトラ島でしか見つかっておらず、タイ西部での発見によりGeomitra節の生息域がさらに北へと押し広げられました。

by Sahut Chantanaorrapint

論文発表時点で確認されているThismia daemonaの個体群は1つだけであり、この個体群には50本未満しか含まれていません。また、生息面積もサッカー場より狭い0.05km2未満であり、その場所は国立公園内の観光客が頻繁に訪れる場所だとのこと。そのため、研究チームはThismia daemonaを暫定的に絶滅危惧種であると評価しています。

チャンタナオラピント博士は、「次の重要なステップは、ユネスコの人間と生物圏計画の概念に沿った持続可能な保全アプローチを採用し、生物多様性の保全と人間の関与を調和させることです。地域の人々が自分たちの自然遺産に誇りを持つよう促すことは、微小生息地を保護するだけでなく、持続可能な地域主導型のエコツーリズムを支援することにもつながります」と述べました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1h_ik

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