使い込むほど成長するAIエージェント「Hermes Agent」に好みを覚えさせて新しいチャットでも記憶を引き継げる「記憶(Memory)」機能を試してみた

これまでAIエージェント「Hermes Agent」を使って、ウェブ検索やブラウザ操作を行ったり、実際に行った作業を「スキル」として保存したり、指定した時刻にタスクを自動実行させたり、その実行結果をメールで受け取ったりしてきました。Hermes Agentにはこうした作業方法を保存するスキルとは別に、ユーザーの好みや作業環境などを長期的に覚えておく「記憶(Memory)」機能が搭載されています。記憶に保存された情報は新しいチャットを開始しても利用できるとのことで、使い続けることでいちいち同じことを説明しなくてもユーザーに合わせた動作ができるようになるというわけ。そこで今回は、Hermes Agentに実際にこちらの好みを覚えさせ、新しいチャットでも記憶しているのか、さらに覚えた内容を実際の回答に反映してくれるのかを試してみます。
Persistent Memory | Hermes Agent
https://hermes-agent.nousresearch.com/docs/user-guide/features/memory
Hermes Agentの記憶は「MEMORY.md」と「USER.md」の2つのファイルで構成されており、ユーザーの好みや回答形式などはUSER.mdに保存されます。保存された内容は新しいセッションの開始時にシステムプロンプトへ読み込まれる仕組みです。
まず、ここまでのレビューでどんなことをHermes Agentが記憶しているのかを確認してみます。Hermes Agentを起動し、新たなセッションを開始して「/(スラッシュ)」を入力するとさまざまなコマンドが出現します。

「/journey」というコマンドを使用することでこれまでに学んだスキルや記憶の内容を確認可能。

円形のグラフが出現しました。これまで学んだスキルが青い「●」で、記憶がオレンジの「◆」で表示される模様。見えにくいですが、中央付近に●がついています。

カーソルをあわせると詳細が表示され、これまでの記事でHermes Agentが覚えてきたスキルだと判明しました。一方、記憶にあたる◆は見当たりません。

Hermes Agentに「何かをまとめる時は、最初に3行程度の要約を書き、その後に詳しい説明を書いてください。今後のために覚えておいてください」と指示してみます。

「承知しました」「今後のすべての要約タスクでこの形式を採用します」と返事してくれました。公式ドキュメントによると、ユーザーの好みや「覚えて」と明示的に依頼した内容は自動的にMemoryへ保存する対象とのこと。

新たなセッションを開き、GIGAZINEについて要約を依頼します。なお、記憶はセッション開始時に読み込まれ、途中で保存・変更してもそのセッションのシステムプロンプトには反映されない点に注意が必要です。

ところが、「最初に要約」というフォーマットが守られているようには見えません。

記憶内容を聞いてみましたが、「記憶は見当たらないようです」とのこと。

先ほど「最初に3行程度の要約を書く」という形式を覚えるよう指示したチャットを開き直し、「memoryツールを使用して記憶してください」と明示的に指示しました。すると今度は「Saved to memory」という表示が出て、「ユーザー情報として保存しました」というメッセージも出現しました。

新たなセッションを作成してGIGAZINEについての説明を依頼しましたが、どうにも「効いている」という感じがしません。

念のため新しいセッションで記憶内容を確認すると、先ほど保存した回答形式を正しく答えました。記憶への保存だけでなく、新しいセッションへの読み込みにも成功していることが分かります。

記憶が効果を発揮しているのかをはっきりさせるため、記憶内容を「最初に『要約』という見出しを書き、3つの箇条書きをする。その後『詳細』という見出しを書く」という内容に書き換えるよう指示しました。

新しいセッションで改めてGIGAZINEについて説明を依頼してみますが、全然先ほどの指示が守られていません。

記憶を書き換えさせたチャットに戻り、「本当に記憶できているかを確認してください」と指示すると失敗していたことを白状しました。こちらの依頼は「確認して」止まりでしたが、はっきり言わないものの勝手に修正作業も行っている模様。

新しいセッションを開いて記憶内容を確認すると、見出しを使用する形式にアップデートされていました。「確認して」という指示だけで勝手に修正するのは指示追従性に難があるように感じますが、無料で使えるモデルではこのあたりが性能の限界といったところ。

改めてGIGAZINEについての説明を依頼すると、今度こそしっかり指示通りの「『要約』見出し+3つの箇条書き+『詳細』見出し」の形式で出力されました。

再び「/journey」コマンドで記憶のグラフを開いてみますが、「memory」を示す◆は追加されていませんでした。

一方、PowerShellで記憶内容を確認するコマンド「hermes journey list」を実行すると記憶が存在していました。記憶そのものは保存されているものの、今回の環境では「/journey」のグラフには反映されていないようです。

保存の仕方やモデルによる挙動には少々クセがありますが、使い続けることでユーザー自身の好みや環境を引き継いでいけるという、Hermes Agentの「使い込むほど成長する」という特徴を実感できる機能となっていました。
次回はHermes Agentで「役割」「記憶」「スキル」などが異なる複数のAIを作成できる「Bot Mode」を使って、専門分野の異なるAIをチームとして働かせてみます。
・つづき
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