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プログラマーの目線から見たGoogleの失敗・不可解な取り組み41選


大手テクノロジー企業であるGoogleはこれまで、「改悪」や「失敗」と呼ばれるような多くの変更などを行ってきました。そんなGoogleの失敗について、プログラマーのXah Lee氏がまとめています。

Google Crimes
http://xahlee.info/w/google_index.html


◆1:YouTubeでの広告ブロッカー規制
YouTubeでは2023年5月頃から広告ブロッカーの使用を禁止するテストが開始され、2023年10月からは取り締まりが本格化しています。この取り組みは、YouTubeから広告をなくす有料サブスクリプションのYouTube Premiumに登録するしか根本的な対策ができないことから、批判が集まっています。

YouTubeが広告を消す「Adblock Plus」をブロックし始めて大混乱に、Adblock Plus公式も対応に乗り出す - GIGAZINE


◆2:検索結果の意図的な変更やサジェストの検閲
Googleに対しては、10年以上前の古いページを意図的に検索結果から除外していることが報告されているほか、検索ボックスに単語を打ち込んだ後のサジェストを意図的に調整していることが報告されています。以下の画像は、元アメリカ上院議員であるヒラリー・クリントン氏についてのサジェストです。Google検索では「emoji」や「employment」といった単語が表示されます。


一方で別のブラウザでは、クリントン氏のメール流出問題に伴い、「emails」や「emails investigation」といったワードが続くことが確認できます。


◆3:YouTubeでの「日付順に並び替える」機能削除
YouTubeでは2022年11月に、YouTubeチャンネルの動画を古い順に並べる機能を削除するアップデートが実施されました。

YouTubeのアップデートで「古い順に並べ替え」が不可能になったことが確認される - GIGAZINE


この変更に対し、多数の否定的な意見が寄せられていました。


なお、「古い順に並び替える」機能は2023年6月にYouTubeに戻されています。

◆4:検索結果への「スポンサー付き」オプション販売のスタート
Googleでは2012年以降、検索結果のトップに広告を表示するための「スポンサー付き」オプションの販売を行っています。かつてGoogleはこの機能について「悪である」と指摘していましたが、結果的にGoogleでもこの取り組みを導入しました。

◆5:競合ブラウザ「Firefox」への妨害
ウェブブラウザ「Chrome」を提供するGoogleは、競合ブラウザであるFirefoxに対し、GmailやYouTubeなど、一部のサイトにおいて意図的にパフォーマンスを低下させているという指摘が多く寄せられています

YouTubeがFirefoxやEdgeユーザーの動画読み込み速度を意図的に低下させているとの指摘 - GIGAZINE


◆6:競合ブラウザ「Edge」への妨害
Microsoftのウェブブラウザ「Edge」において、2018年、YouTubeで動画視聴を行おうとすると「div」と表示されて動画視聴ができなくなる事態が発生しました。この件について、Googleは詳細な説明を行わなかったことが指摘されています。

◆7:AMPの導入
Googleは2019年に、ウェブサイトの閲覧を高速化するための「AMP」を導入しました。このAMPをサイトに実装しなかった場合、Googleでの検索結果において下部に移されてしまいます。一方で、AMPを導入することでサイトの読み込み速度が遅くなったことも報告されており、批判が集まっています。

GoogleはAMP以外の広告の読み込み時間に1秒の遅延を加えていた - GIGAZINE


◆8:ChromeへのログインによるGoogleのトラッキング
Chromeでは、Googleアカウントにログインしておくことで、別デバイスでの作業内容の共有などが可能です。しかし、GoogleはChromeにログインしたユーザーが閲覧するページなどを追跡可能で、Googleに情報が筒抜けとなってしまうことが指摘されています。

◆9:HTTPSの使用強制
Googleでは基本的にHTTP通信よりも暗号化の面で優れた「HTTPS」の使用を推奨しています。ChromeでHTTPを用いたサイトを閲覧すると、「保護されていない通信」と表示されたり、「接続は安全ではありません」と表示されたりすることがあります。一方で、HTTPからHTTPSに変更することは簡単ではないにもかかわらず、GoogleはHTTPSに変更するように脅しをかけてくると批判されています。


◆10:Gmailのプライバシー問題
2016年以降、Googleのメールアプリ「Gmail」に届いたメールを閲覧すると、送信者に対して、相手が閲覧したことを示すメッセージが届けられるようになりました。この機能はHTMLをオフにしても実行されます。

◆11:Google Fontsでの主張
Lee氏は、Googleで使用されるフォントを提供する「Google Fonts」において、西洋イデオロギーによるプロパガンダが行われていると指摘しています。なお、Google Fontsにおける日本語のテキスト例には「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは」という世界人権宣言の一節が用いられています。

◆12:YouTubeでの低評価数の非表示
2021年11月、YouTubeでは動画の「低評価」数を非表示にする措置を行いました。Googleによると、低評価数の非表示を行うことで、低評価ボタンを押されまくる「低評価攻撃」を受けるような被害が少なくなるとのこと。一方で一部のユーザーからは低評価数の非表示に対する批判も寄せられています。

YouTubeの「低評価」数が非表示に - GIGAZINE


◆13:YouTubeでの関連動画を非表示にするための仕組みの停止
かつてYouTubeでは、URLに「rel=0」というキーワードを追加することで、関連動画を非表示にすることができました。しかし、2018年9月に行われたYouTube APIのアップデートに伴い、この機能が削除されています。

◆14:GmailによるThuderbirdのブロック
2014年以降、GmailではMozillaのメールソフト「Thunderbird」がGmailにアクセスすることをブロックしています。これを解決するためには、Googleの設定で、一部のセキュリティ機能をオフにする必要があり、批判が集まっています。

◆15:Google社員によるGoogle+の利用
Googleがかつて運営していたSNS「Google+」では、Google社員によるGoogle+の新機能紹介や便利な点を挙げる投稿が掲載されていました。一方でGoogleにとって好印象を抱かせるような投稿が大多数を占めていたことから、Lee氏は「否定的な投稿を行わないよう、社員に対しプレッシャーがかけられていたのではないでしょうか」と指摘しています。

◆16:Gmailの「プロモーション」に届く詐欺広告
Gmailには、通常の受信トレイである「プライマリ」やSNSプラットフォームから届いたメールが分類される「ソーシャル」のほかに、ダイレクトメールなどが届く「プロモーション」と呼ばれるタブが存在します。この「プロモーション」タブに、登録した覚えのないサイトからの広告が届くことが報告されています。Googleはこのような広告掲載方式を2013年頃から採用しています。


◆17:今なお続くChromeとFirefoxの争い
前述したように、Googleは自社のウェブブラウザ「Chrome」のシェア拡大に向け、競合ウェブブラウザの「Firefox」に対して意図的なパフォーマンスの低下を行うなどの施策に取り組んでいます。ChromeとFirefoxをめぐる争いは2011年頃から始まったとのこと。

◆18:プライベートブラウジング機能のウソ
2008年頃にGoogleが導入した「プライベートブラウジング機能」は、「誰にも知られずにサイトを訪問できる」という触れ込みで提供されています。しかし、その実態はただコンピューター上のブラウザの閲覧履歴を削除するだけで、「サイトにアクセスした」という事実を隠すことはできません。Lee氏は「誰かとコンピューターを共有していて、アクセスしたサイトを他の人に見られたくないと思う場合にのみプライベートブラウジング機能が役立ちます」と指摘しています。

◆19:Bloggerアカウントの問題
Googleが提供するレンタルブログサービスの「Blogger」において、正しくリンクが機能しない問題が2008年頃発生しました。

◆20:「Don't be evil(邪悪になるな)」という行動規範
Googleでは、企業の行動規範に「邪悪になるな」という言葉を据えています。しかし、Googleは広告利益を最大化するために、ブラウザやサーバーに対し、トラッキングを防ぐようなサポートの導入を拒否していることや、カスタマーサポートの提供を拒否していることなど、批判の的となるような行動を取ることがあります。そのため、「邪悪になるな」という行動規範について、数多くの議論が巻き起こっています。なお、「邪悪になるな」という文言は2018年に行動規範から削除されました。

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◆21:古代アジアの彫刻を掲載したページに対するGoogle AdSenseの禁止措置
Googleでは2003年からコンテンツ連動型広告配信サービスの「Google AdSense」を提供しており、アダルト関連や暴力的なサイトなどを除き、コンテンツに連動した広告や、検索に関連した広告がサイト上に自動的に配信されます。しかし、古代アジアの女神をかたどった彫刻の画像を掲載するページに対し、GoogleがAdsenseの禁止通知を送信しています。


◆22:Google+の閉鎖
2011年6月にサービスが開始されたGoogleのSNS「Google+」でしたが、利用低調を理由に2019年4月2日に閉鎖されました。なお、Google+では当時、5000万人以上のユーザー情報が流出する危険がある脆弱(ぜいじゃく)性が発見されています。

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◆23:Google広告設定の誤り
Googleによって掲載される広告は「マイアドセンター」を用いることで調整することが可能です。しかし、Lee氏は、マイアドセンターに表示される自分の情報が、本当の自身の興味や関心と一部合致していないことを指摘しています。

◆24:「-(ハイフン)」の使用
多くの開発者やプログラマーは、ファイル名に付ける文字の区切りを「_(アンダーバー)」で表現しています。しかし、Googleではアンダーバーの代わりにハイフンを使用しています。Googleに合わせてアンダーバーをハイフンに置き換えると、正しく情報を処理できなくなってしまいます。

◆25:Steve Yeggeによる告発文
元GoogleやAmazonの開発者であるSteve Yegge氏が2011年に投稿したGoogle Platforms Rantでは、GoogleやAmazonでクラウドプラットフォームを開発する上でのマイクロサービスを進める理由と自社の問題点について強い口調で指摘しています。

◆26:JavaScriptやCookieの要求
2012年以降、GoogleグループにおいてJavaScriptの導入が必須になりました。JavaScriptをオフにしている場合、Googleグループでコンテンツが表示されることはありません。同様に、一部のページやGoogle翻訳、Google画像検索でもJavaScriptの導入が求められます。また、Bloggerにおいて、動的なインターフェイスを用いる場合、Cookieをオンにする必要があります。

◆27:無効なHTMLを含むコードの配信
Google+のサービスを開始した際、GoogleはSNS共有用のボタンをサイトに追加するためのコードを配信しました。そのコードの中に無効なHTMLを追加するよう指示するコードが含まれていたことが指摘されています。その際のコードの一部が以下。

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◆28:国家支援型攻撃に関するGmailの警告
2012年6月にGoogleは一部のユーザーに対し、「国家を標的とした攻撃者があなたのアカウントやコンピューターを侵害しようとしている可能性があります」との警告文を表示しました。Lee氏によると、Googleの2段階認証をオンにしても引き続き警告が表示されたとのこと。


◆29:Gmailの全てのメールをローカルに保存する方法
Gmailアカウントが削除される心配がある場合、「転送とPOP/IMAP」リンクから、「IMAPを有効にする」を選択することで、Thunderbirdなど別のメールソフトを使ってGmailに送信された全てのメールをローカルに保存することが可能です。また、Googleデータエクスポートにアクセスすることで、Gmail以外のその他のデータをローカルに保存することも可能です。

◆30:Googleサイドウィキの導入
2009年にGoogleは「Googleサイドウィキ」と呼ばれる、全てのユーザが任意のウェブサイトにコメントを残すことができる機能を実装しました。しかし、Googleサイドウィキには荒らしなどの問題が存在したことから批判が集まっていました。ですが、Googleサイドウィキを削除する方法は「URLリダイレクト」を用いた方法に限られ、多くのユーザーが頭を悩ませていたとのこと。

◆31:HTML属性値「nofollow」の導入
Googleが2005年に開発したHTML属性値「rel="nofollow"」は、Googleのクローラーに対してリンクをたどらないように指示を出すものです。Lee氏は「nofollow」について「コミュニケーション形式としてのHTMLの目標から逸脱した、Googleの利益のためだけに設計されたギミックの副産物です」と指摘しています。

◆32:検索エンジンとしての質の悪化
Googleで検索を行った際のトップに、有料リンクを多数含んだサイトが数カ月間にわたって掲載されていたことや、検索結果の上位にスパムサイトが位置することなどが指摘されています。Lee氏は「分散型オープンソース検索エンジン」への移行を推奨しています。

◆33:Googleによる不可解なアカウント停止
2011年3月、Lee氏のGoogleアカウントが4時間にわたって停止させられる事態が発生しました。Googleによると、Lee氏のアカウントは「異常なアクティビティ」が原因で停止措置が行われたとのことで、Lee氏は「思い当たる節はない」と述べています。また、アカウント復旧のためにはスパム対策システムに対して自身の電話番号を送信する必要があります。Lee氏は「Googleに対し電話番号を教えたくありません」と語りました。

◆34:GoogleによるSEOのアドバイス
Googleはウェブマスター向けに「ウェブサイトのランク付けに関する方法」など、さまざまなSEO情報を紹介しています。Googleは「SEOに関するアドバイスを提供することで、ウェブマスターが質の高いウェブサイトを作成するのを助けている」と主張していますが、Lee氏は「リンク操作やスパムリンクなど、怪しい裏技の存在を巧妙に隠しています」と指摘しました。


◆35:Google検索ランキングの成分
検索エンジンにおいて検索結果の上位に表示されるための要素として、Lee氏は「外部リンクからのキーワードに焦点を当てたアンカーテキスト」「外部リンクの人気度」「リンクソースの多様性」「タイトルタグでそのページのキーワードを使用」などを挙げています。

◆36:SPDYプロトコルをめぐるウェブブラウザ間の争い
HTTPを置き換えることを目的としてGoogleは「SPDY」と呼ばれる通信プロトコルを提唱していました。SPDYを用いることでウェブページの読み込み時間を短縮することが可能ですが、SPDYを用いた通信に対応したウェブブラウザ間でシェアをめぐった争いがさらに白熱しました。

◆37:無効なHTMLタグの配布
2011年1月時点でのYouTubeの動画を埋め込むためのコードには不要な「type="text/html"」が含まれていました。Lee氏がGoogleのYouTubeフォーラムでこの問題を指摘したところ、Googleは2011年2月に修正を行い、埋め込みコードに「type="text/html"」が含まれなくなったことが報告されています。

◆38:Googleは信頼に値する企業か
1998年の設立当初からGoogleの成長を見守ってきたLee氏は「Googleの製品やサービスは競合他社よりもかなり安全かつ優れており、信頼に値します」と評しています。また、「業界最大手の企業に成長すると『独占』のレッテルを貼られ、さまざまな攻撃を受けるようです」と述べ、いわれなきGoogleへの攻撃をやめるよう指摘しています。

◆39:Bloggerのアダルトコンテンツに関するポリシー
一部のコンテンツを除き、Bloggerではヌードや性行為を含む画像や動画などのアダルトコンテンツの掲載が認められています。なお、アダルトコンテンツを掲載する場合は、ブログの設定から「アダルト」の項目にチェックを入れる必要があります。

◆40:Google+に関する楽曲
個人情報流出のリスクや他SNSによる利用者数の減少などの問題に苦しんでいたGoogle+には、批判の意味を込めたさまざまな楽曲やラップが作成されました。以下の動画はその一つです。

The Google+ Rap - YouTube


◆41:Googleのコマーシャルにおけるパリへの愛
Googleがこれまで放映したコマーシャルでは「フランス・パリに留学する」「フランス・パリのチョコレートショップ」「ルーヴル美術館付近のカフェ」など、パリに関する検索の例が頻出します。

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in ソフトウェア,   ネットサービス,   動画, Posted by log1r_ut

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