ソフトウェア

ウェブブラウザ・Braveが非難されまくっているGoogleの「Web Environment Integrity」を無効化してリリースすることを発表


Googleが「健全なインターネット」のために策定を進めている「Web Environment Integrity(WEI)」に対して反対を表明している、ウェブブラウザ・Braveが、WEIを無効化する方針であることを明らかにしました。

Disables WebEnvironmentIntegrity feature and origin trials. by mkarolin · Pull Request #19476 · brave/brave-core · GitHub
https://github.com/brave/brave-core/pull/19476


Google’s Plan To DRM The Web Goes Against Everything Google Once Stood For | Techdirt
https://www.techdirt.com/2023/08/02/googles-plan-to-drm-the-web-goes-against-everything-google-once-stood-for/

Google’s nightmare “Web Integrity API” wants a DRM gatekeeper for the web | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2023/07/googles-web-integrity-api-sounds-like-drm-for-the-web/

Firefox and Chrome are squaring off over ad-blocker extensions - The Verge
https://www.theverge.com/2022/6/10/23131029/mozilla-ad-blocking-firefox-google-chrome-privacy-manifest-v3-web-request

Googleが新たなウェブ標準として策定を進めているWEIは、開発者に対してAPIを提供し、特定のブラウザ構成だけを承認するという仕組みです。WEIでは、サーバーはウェブページを表示する前に、第三者の検証サービスに対してユーザーの閲覧環境が改変されたものではないかどうかを検証します。そのため、「特定のブラウザ構成」以外を利用している場合、ページが表示されなくなる可能性が危惧されています。

Google従業員が「信頼できる第三者」による認証でBotや改造ブラウザを排除して「健全なインターネット」を作るべく新たなウェブ標準「Web Environment Integrity」を提案 - GIGAZINE


WEIについて、フリーソフトウェア財団のグレッグ・ファロー氏は「フリーのOSやブラウザを使っている人にはページ表示を拒否することなどができる可能性があります」と述べています。

そんなWEIに対してはさまざまな企業やサービスが反対の姿勢を見せており、Googleが開発するChromiumをベースにしたウェブブラウザ・Braveも反対を表明していました。

Braveのプライバシーエンジニアリング担当ヴァイスプレジデントで上級プライバシー研究員のピーター・スナイダー氏は、WEIについて「ブラウザのユーザーにウェブの閲覧・操作・使用を管理させないようにするGoogleの継続的な取り組みの一部に過ぎません」と指摘しています。

ウェブブラウザ・BraveもGoogleの推進する「Web Environment Integrity」に強く反対 - GIGAZINE


さらにBraveは2023年8月に「WEIを有効にしてリリースすることは今後もありません」と発表。Braveは「WEIは、これまでのインターネットよりもGoogleに関連するウェブサイトに権力を集める、独占的なシステムです」と批判しています。

また、Braveは「Googleが導入を検討しているManifest V3は、これまでのブラウザ拡張機能を根底から揺るがすもので、ユーザーによるコンテンツブロッカーがうまく動作しなくなる危険性があります」と指摘しています。


Googleが導入を検討しているManifest V3は、従来のManifest V2の懸念点だった「ログイン資格情報の乗っ取りやウェブページ内への余分な広告の挿入」を改善できるとのこと。一方で、海外メディアのThe Vergeは「Manifest V3への変更についてGoogleは、プライバシーやセキュリティ、パフォーマンスを向上させることができると解説しています。しかし実際には、Googleに広告費を支払っている企業に対し、広告ブロッカーの影響を軽減させるための計算された取り組みです」と批判しています。

実際にGoogleは、収益に影響を与える可能性のあるリスク要因として「オンライン広告をブロックするコンテンツやテクノロジー」を挙げています。

さらに、Googleは「WEIを悪い方向に導きたくない」と述べる一方で、「物理デバイスに対するレート制限を行う」ことを示唆しており、GitHubのフォーラムでは、「このアイデアは非倫理的で、オープンウェブの概念に反しています」との批判も行われています。

Googleはこれまでにもユーザーが必要とする機能などの削除、廃止を行っており、2022年11月にはChromeやChroniumにおいて、従来のAVIF画像形式よりもファイルサイズが小さい一方で画質に優れる次世代画像規格「JPEG XL」のサポート廃止を断行しました。

サポート廃止の要因について、海外メディアのPhoronixは「JPEG XL形式は、Googleが推進するWebP形式と真っ向から対立するため」と推測していました。

Googleに対する批判が集まる中で、ウェブブラウザ・Firefoxを展開するMozillaは、「プライバシーがFirefoxを使用するユーザーにとってコアバリューであることを認識しています」と述べ、FirefoxにManifest V3を導入することを発表。しかし、FirefoxはManifest V3の導入後もウェブリクエストによるコンテンツブロッカーを継続してサポートすることを示唆しています。


Mozillaの最高セキュリティ責任者であるマーシャル・アーウィン氏は「コンテンツブロッキングがFirefoxユーザーにとって重要であることを我々は周知しています。我々は今後もFirefoxを利用可能な最高のプライバシーツールへと成長させていきます」と語っています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Googleが策定を進める「Web Environment Integrity」は「フリーなインターネットへの総攻撃」だとフリーソフトウェア財団が発表 - GIGAZINE

Google従業員が「信頼できる第三者」による認証でBotや改造ブラウザを排除して「健全なインターネット」を作るべく新たなウェブ標準「Web Environment Integrity」を提案 - GIGAZINE

Brave Searchの画像検索と動画検索が脱Google・脱Bingを果たす - GIGAZINE

ウェブブラウザ・BraveもGoogleの推進する「Web Environment Integrity」に強く反対 - GIGAZINE

広告を閲覧してお金をもらえるブラウザ「Brave」が広告主向けの広告管理システム「セルフサービス広告」を開始 - GIGAZINE

Google Chromeが次世代画像規格「JPEG XL」形式のサポート廃止を検討、その理由とは? - GIGAZINE

in ソフトウェア, Posted by log1r_ut

You can read the machine translated English article here.