サイエンス

火山灰に埋もれて炭化した古代ローマの巻物を解読したら3000万円がゲットできるチャレンジで最初の単語がついに解読される


火山灰に埋もれた古代ローマの都市から発見された古文書を解読する賞金25万ドル(約3300万円)のコンテスト「ヴェスヴィオ・チャレンジ」が2023年3月15日から始まっています。2023年10月12日には、ついに最初の単語を解読した人物が現れました。

First word discovered in unopened Herculaneum scroll by 21yo computer science student | Vesuvius Challenge
https://scrollprize.org/firstletters

There should be more cash prizes for solving historical mysteries
https://resobscura.substack.com/p/there-should-be-more-cash-prizes

ヴェスヴィオ・チャレンジで解読が進められているのは、イタリアのポンペイとともに世界遺産に登録されているヘルクラネウムの都市遺跡から発掘された古代ローマのパピルス製の巻物です。

高温の火山灰に埋もれたこの巻物は炭化して非常にもろくなっており、開いて読もうとすると、巻物が破損してしまいます。そこで、解読技術に長けた人材を募り、最新技術を使って巻物に書かれた文字を解読するという「ヴェスヴィオ・チャレンジ」がケンタッキー大学のブレント・シールズ博士らのもとで行われています。ヴェスヴィオ・チャレンジに関しては、以下の記事で詳しくまとめられています。

火山灰に埋もれた古代ローマの巻物を解読したら3000万円がゲットできる「ヴェスヴィオ・チャレンジ」 - GIGAZINE


ヴェスヴィオ・チャレンジでは、「フルスクロール」「フラグメント」と呼ばれる2つの巻物の解読を行うことが目標。2023年中に巻物内の連続した文章を少なくとも4つ解読すると、70万ドル(約1億円)が贈られます。巻物の解読は困難を極めましたが、2023年10月12日、ついに「フラグメント」に記された最初の単語が明らかになりました。

解読に成功したルーク・ファリター氏は、公開されている巻物の断面のCTスキャンを用いて機械学習モデルのトレーニングを繰り返しました。機械学習モデルのトレーニングと改善を繰り返すうちに、巻物に使われたインクが残した特有の質感を特定することに成功。インクの質感についてファリター氏は「ひび割れ模様」と呼んでいます。


トレーニングを繰り返す中で、モデルは次第に改善され、目には見えない新たなひび割れ模様が発見されたとのこと。最終的に、AIは「πορφυραc(ポルフィラス)」という単語を発見しました。発見の報告を受けて、シールズ氏らのチームはこの「πορφυραc」という単語の意味の特定を行い、この単語が「紫」という単語であることを突き止めました。


最初に単語の報告を行ったファリター氏には4万ドル(約600万円)が授与されました。また、ファリター氏から一歩遅れたものの、同様のアプローチでより明確な結果を示したユセフ・ネイダー氏には1万ドル(約150万円)が贈呈されました。以下はネイダー氏が示した巻物の画像です。


シールズ氏は「この『πορφυραc』という単語は、私たちが今回の巻物の解読の取り組みを開始して初めて発見された文字です。この単語から、この書物は王族や富、または嘲笑に関する物語であることが推測されます」と述べています。

ネイダー氏はさらに、4行分のテキストが記された巻物の画像を公開。ネイダー氏による画像をもとに、多くの研究チームが文字の意味の特定に尽力しているとのことです。

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in サイエンス, Posted by log1r_ut

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