OpenAIのサム・アルトマンCEOが「超音波を使って脳の活動を読み取るインターフェース」を開発する企業を支援

OpenAIのサム・アルトマンCEOとxAIのイーロン・マスク氏という2人の間でAIをめぐる対立が激化するなか、OpenAIは、マスク氏が設立したNeuralinkと競合する脳コンピューターインターフェース(BCI)企業のMerge Labsを支援する準備を進めていると報じられています。
Sam Altman challenges Elon Musk with plans for Neuralink rival
https://www.ft.com/content/04484164-724e-4fc2-92a2-e2c13ea639bd
Sam Altman’s next startup eyes using sound waves to read your brain | The Verge
https://www.theverge.com/column/806666/sam-altman-merge-labs-brain-computer-interface-startup-hire
Merge Labsは、AIの最近の進歩を活用して、より実用的なBCIを構築しようとしているスタートアップの1つです。Merge Labsが採用しようとしている技術的アプローチは、マスク氏のNeuralinkとは大きく異なります。アルトマンCEOは、Neuralinkの侵襲的な手法を好まず、「私の脳に何かを縫い付けたりは絶対にしたくない」と述べており、Merge Labsもこれに沿って非侵襲的なアプローチを模索しています。

by Steve Jurvetson
Merge Labsは創設チームの主要なリーダーとして、カリフォルニア工科大学の生体分子工学者であるミハイル・シャピロ氏を迎え入れています。シャピロ氏の研究テーマは、「脳に物理的な損傷を与えるリスクのある手術を必要としない非侵襲的な手法を用いたBCIの実現」です。これは、アルトマンCEOの考えと一致するもので、マスク氏のNeuralinkが採用する「電極を脳組織に直接埋め込む手法」とは一線を画します。
さらに、シャピロ氏は特定の細胞が超音波に反応するように改変する研究を行っています。これは細胞に特定の遺伝子を注入し、それによって超音波を照射した際に可視化されたり何らかの信号を発したりするように操作するという技術です。
シャピロ氏は「脳組織に電極を挿入するよりも、遺伝子を細胞に導入して超音波に反応するように改変する方が簡単だ」とコメントしており、超音波という体外から操作できる物理的な刺激と、特定の細胞のみを標的にできる生物学的な技術を組み合わせることで、高精度かつ安全性の高いBCIを実現することが可能だとしています。

資金調達の面では、Merge Labsはすでに8億5000万ドル(約1240億円)の企業価値で新たな資金調達を行っており、その新資金の多くはOpenAIのベンチャーチームから提供される見込み。Merge LabsはOpenAIなどから2億5000万ドル(約364億円)の資金調達を目指していますが、交渉は初期段階にあります。アルトマンCEOは他起業家と共にプロジェクトの立ち上げを支援し、Merge Labsの共同設立者となっていますが、Merge Labsに関する日常業務は担ってはいないとのこと。
アルトマンCEOは2017年のブログ記事で、人間と機械が融合する時期について「大方は2025年から2075年の間であるように見えます」と予測し、「この融合はすでに数年前から漸進的なプロセスとして始まっており、スマートフォンやソーシャルメディアのアルゴリズムが、私たちの行動、感情、思考を決定しています」と指摘しています。
アルトマンCEOは、人間と機械の融合は止められないだろうと考えており、「我々自身を滅ぼさない限り、超人的なAI、遺伝子強化、そしてBCIは起こるでしょう」と述べています。アルトマンCEOは、融合は人間にとって「おそらく最良のシナリオ」であり、融合によって人間がデジタル知能の生物学的ブートローダーとなる代わりに、より良い未来を築けると示唆しています。
さらに、「ハードウェアは指数関数的な速さで改善しています。そして、指数関数的な関数はあっという間に手に負えなくなります」として、この変革が多くの人が考えるよりも早く起こると予測しました。経済紙のFinancial Timesは、アルトマンCEOが「何かを考えて、ChatGPTにそれに応答してもらいたい」と述べていたことから、技術的な進歩によって高帯域幅のBCIが登場する未来は遠くないだろうと予言しました。
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in ハードウェア, Posted by log1i_yk
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