地球上の淡水が急速に減って飲み水や食料の安定供給がピンチになりつつある

淡水は飲み水としてだけでなく農業や工業などに必要不可欠な資源です。しかし、アリゾナ州立大学などの研究チームが世界の淡水貯蔵量の推移を分析した結果、2000年代以降に淡水が急速に減ったことが明らかになりました。
Unprecedented continental drying, shrinking freshwater availability, and increasing land contributions to sea level rise | Science Advances
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adx0298
New global study shows freshwater is disappearing at alarming rates | ASU News
https://news.asu.edu/20250725-environment-and-sustainability-new-global-study-shows-freshwater-disappearing-alarming

研究チームはアメリカ航空宇宙局(NASA)とドイツ航空宇宙センター(DLR)が共同で実施していた地球重力場観測ミッション「GRACE」と後継ミッションの「GRACE-FO」で得られたデータを元に、世界の淡水貯蔵量の変化を分析しました。
以下の図は世界の2003年3月から2024年4月にかけての淡水貯蔵量の変化を示したもので、赤色に近いほど「淡水貯蔵量が減った」ということを示し、青色に近いほど「淡水貯蔵量が増えた」ということを示しています。淡水貯蔵量が減った地域は北半球に集中している傾向があり、特に「北米南西部および中央アメリカ」「アラスカおよびカナダ北部」「ロシア北部」「中東および北アフリカ」の4地域では淡水貯蔵量が顕著に減少していました。

淡水貯蔵量の変化を国ごとにまとめた図が以下。貯蔵量が減少している国は101カ国におよび、世界人口の約75%が淡水貯蔵量の減った国に住んでいることが明らかになりました。

また、淡水が減った原因を分析した結果、減少要因のうち68%が「地下水の減少」によるものだということも判明しました。地下水の減少はおもに海面上昇によって引き起こされていることから、今後も継続的に淡水貯蔵量が減少していく可能性もあります。
研究チームの一員であるジェイ・ファミリエッティ氏は「大陸は乾燥し、淡水資源は減少し、海面上昇は加速しています。地下水の過剰利用が続くと、世界中の何十億もの人々の食料と飲み水の安全保障が脅かされる可能性があります。今こそ『全員参加』の時です。世界の水安全保障のために早急な行動が必要です」と述べています。
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in サイエンス, Posted by log1o_hf
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