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ロシア軍がSpaceXの衛星インターネット「Starlink」をウクライナとの戦争の前線で使用していると報じられる


SpaceXが展開する衛星インターネット「Starlink」が、ロシア軍によるウクライナ侵攻の前線で使用されているとウクライナ国防省情報総局が発表しました。SpaceXのCEOを務めるイーロン・マスク氏はこれに反応し、「SpaceXがロシアにStarlink端末を販売することはない」と主張しています。

Russia is using Starlink in occupied areas, Ukraine says | Reuters
https://www.reuters.com/world/europe/ukraines-military-intelligence-says-it-confirms-use-musks-starlink-by-russian-2024-02-11/


Kremlin denies its troops use Elon Musk's Starlink | Reuters
https://www.reuters.com/world/europe/kremlin-denies-its-troops-use-elon-musks-starlink-2024-02-12/

Russia using Elon Musk’s Starlink on Ukraine front line, says Kyiv
https://www.ft.com/content/e69c8c20-85a2-4e98-8b6f-46b92f42871b

Ukraine: Russian Troops Are Using Starlink, Despite Denials From SpaceX | PCMag
https://www.pcmag.com/news/ukraine-russian-troops-are-using-starlink-despite-denials-from-spacex

Starlinkは地球低軌道に展開した人工衛星を用いて、地上の通信インフラが整っていない地域でもインターネットを提供できます。そのため、ロシアによる侵攻でウクライナ国内の通信インフラが危険にさらされた際、SpaceXはすぐにウクライナ国内でStarlinkを利用可能にし、厳しい状況にあったウクライナをサポートしました。

イーロン・マスクの指示で衛星インターネット「Starlink」がウクライナであっという間に利用可能に - GIGAZINE


やがてウクライナはStarlinkを通常のインターネット通信だけでなく、ロシア軍に対する攻撃にも活用し始めるようになりました。ところが、SpaceXの社長兼最高執行責任者であるグウィン・ショットウェル氏は2023年2月、ウクライナによるStarlinkの軍事使用について、「Starlink衛星インターネットサービスは決して兵器化することを意図したものではありませんでした」と述べ、否定的な見解を示しました

2023年9月に出版されたマスク氏の伝記本「イーロン・マスク」では、ウクライナの無人潜水艦がロシアの軍艦に攻撃を仕掛けることを阻止するために、マスク氏がクリミア海岸周辺のStarlinkのネットワークを停止するよう命じていたことが記されています。

イーロン・マスクはウクライナによるロシア軍艦への爆弾攻撃を阻止するためにStarlinkの通信を遮断するよう命令していたことが明らかに - GIGAZINE


そんな中、ロシアのメディアであるCOMNEWSは2024年2月5日に、ロシアの業者がドバイ経由でStarlink端末を購入していると報じました。また、ロシアのボランティア団体がStarlink端末を購入したという報告や、前線のロシア軍が数十台のStarlink端末を利用していることがウクライナ軍により確認されたなどの報道が相次ぎました。

そしてウクライナ国防省情報総局は2月10日に、ウクライナ東部のドネツク州の占領地に展開するロシア軍がStarlinkを使用していることが無線傍受で確認されたと、ソーシャルメディアのテレグラムで発表しました。ウクライナ国防省情報総局のアンドリー・ユーソフ報道官はメディアに対し、「ロシアの占領者がこれらの端末(Starlink端末)を使用した事例が記録されています。これは体系的な性質を帯び始めています」と述べ、ロシア軍によるStarlinkの使用が秩序立ったものになっていると報告しています。

ロシア軍によるStarlinkの使用が問題視される中で、SpaceXは「私たちはロシア政府はまたはロシア軍といかなる種類のビジネスも行いません。Starlinkはロシアではアクティブになっておらず、ロシアではサービスが機能しません。SpaceXはロシアでStarlinkを販売したりマーケティングしたりしたことはなく、ロシア国内の拠点に端末を出荷したこともありません」「また、ドバイでStarlinkを購入することはできず、Starlinkもドバイに出荷していません。さらに、Starlinkはサードパーティーの仲介業者、再販業者、またはいかなる種類の販売代理店にも、ドバイでStarlinkを販売することを許可していません。Starlink端末が制裁対象または無許可の組織によって使用されている情報を入手した場合、SpaceXはその申し立てを調査し、確認された場合は端末を無効化する措置を講じます」という声明をX(旧Twitter)で発表しました。なお、ロシア軍の最前線はロシア国内ではなくウクライナの領土内であり、SpaceXはウクライナの領土内でロシア軍がStarlinkを使用する可能性については言及していません。


マスク氏も、「多くの誤報は、SpaceXがStarlink端末をロシアに販売していると主張しています。これは完全に誤りです。私たちが知る限り、Starlinkが直接的または間接的にロシアに販売されたことはありません」と述べています。


一方でロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は2月12日、記者団に対して「Starlinkはロシア政府が認証したシステムではなく、正式に供給することはできませんし、また正式に供給されるものでもありません。従って、公式には一切使用できません」とコメントしました。

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in ネットサービス,   ハードウェア, Posted by log1h_ik

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