NISTの停電でNTPサーバーの時刻配信が危機に陥るも予備電源を駆使してサーバー持続に成功

PCやスマートフォンはNTPサーバーと呼ばれる時刻配信サーバーにアクセスすることで正確な時刻を取得しています。ところが、コロラド州で発生している大規模な停電の影響を受けてアメリカ国立標準技術研究所(NIST)が管理しているNTPサーバーが深刻な影響を受けていたことが明らかになりました。
Primary time scale failure at NIST Boulder campus; significant impact on NTP services
https://groups.google.com/a/list.nist.gov/g/internet-time-service/c/o0dDDcr1a8I
Update on Boulder Internet Time Services and atomic time scale
https://groups.google.com/a/list.nist.gov/g/internet-time-service/c/OHOO_1OYjLY
NISTはメリーランド州のゲイザースバーグに本部を構えているほか、コロラド州のボルダーにも大きな研究所を設置しています。今回問題が発生したのはボルダーの研究所です。
ボルダー周辺では強風が続いており、強風の影響で大規模な停電が発生しています。周辺地域の電力供給を担っているXcel Energyの停電マップを確認すると、記事作成時点でもNISTの研究所の北側の地域で停電が続いていることが分かります。

この停電の影響を受けて、以下の6個のNTPサーバーで正確な時刻を取得できなくなったことが2025年12月20日に発表されました。
time-a-b.nist.gov
time-b-b.nist.gov
time-c-b.nist.gov
time-d-b.nist.gov
time-e-b.nist.gov
ntp-b.nist.gov
NISTの発表によると、協定世界時の2025年12月17日22時23分に研究所が停電に陥ったものの、NTPサーバーは予備電力で動き続けたとのこと。しかし、発電機の1つが故障してNTPシステムで正確な時刻を配信できなくなってしまったたため、NTPサーバーへのアクセスを遮断することがアナウンスされました。
その後、NISTが日本時間の2025年12月22日4時30分に続報を発表しました。続報によると、「第1バックアップ電源」が2日間の連続稼働後に停止したため、NTPシステムにAC電源経由で電力が供給されない時間が2時間続いたとのこと。しかし、大型バッテリーシステムによってシステムへの電力供給は続いたほか、現場に駐在していたスタッフが予備のディーゼル発電機を作動させて「第2バックアップ電源」を確保しました。
NISTはNTPサーバーの信号偏差を5マイクロ秒未満に抑えられたことを受けて、NTPサーバーを停止せずにオンライン状態を保つことを決定しました。NISTは「時刻の差をナノ秒スケール未満に抑えることは科学アプリケーションや電気通信、重要インフラ、測位システムなどの整合性監視において重要ですが、ナノスケールという精度はパブリックインターネットを介した転送では達成できません。パケット遅延や変動によって1ミリ秒適度の不確実性が生じるのが一般的です」と述べ、一般的な利用では問題が発生しないことを説明しています。
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in ネットサービス, Posted by log1o_hf
You can read the machine translated English article A power outage at NIST puts the NTP serv….







