食品パッケージに「目玉」を描くことでカモメが食べ物を盗むのを防げる

近年はイギリスやヨーロッパ各地でカモメが都市部にも進出し始めており、人間の食べ物がカモメに奪われることが多発しています。イギリスなどに分布するヨーロッパセグロカモメを対象にした実験では、テイクアウトの食品パッケージに「目玉」を描くことで、カモメによる食品強奪を減らすことが可能だと示されました。
Evaluating Aversion to Eye‐Like Stimuli as a Foraging Deterrent in Urban European Herring Gulls - Kelley - 2026 - Ecology and Evolution - Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ece3.73202
Why drawing eyes on food packaging could stop seagulls stealing your chips
https://theconversation.com/why-drawing-eyes-on-food-packaging-could-stop-seagulls-stealing-your-chips-278269
食べ物を盗むカモメと人間の対立は深刻化しており、イギリス・エクセター大学の行動生態学者であるローラ・ケリー准教授は2025年の夏、コーンウォールの浜辺でカモメが人のバッグをあさり、ポテトチップスの袋をくわえて飛び去っていくのを目撃したとのこと。
ケリー氏らは以前から、カモメが食べ物を盗むのを防ぐ方法について研究してきました。2019年には「人間が見張り続けていると、カモメが食べ物に近づくのが明らかに遅くなる」という研究結果を発表しています。
カモメに食べ物を盗まれないようにする方法を科学者が発見 - GIGAZINE

野生動物や家畜など多くの動物は「目」に敏感であり、目は捕食者の存在を示す指標となるだけでなく、意図を伝達するためにも用いられます。直接目を合わせることは攻撃性のシグナルであり、多くの動物はじっと見つめられると防御的な反応を示すとケリー氏は説明しています。
一部の動物はこうした反応を利用するため、眼状紋と呼ばれる目玉のような模様を発達させてきました。眼状紋がどのようにして捕食者を遠ざけるのかについては1世紀以上にわたり議論されてきましたが、眼状紋は捕食者の目と勘違いさせることで警戒心を高めたり、攻撃をそらしたりする可能性があるとのこと。
目に対する動物の反応を利用することも模索されており、野生の肉食動物による家畜の殺傷が問題となっているボツワナでは、「家畜として飼育されている牛のお尻に目を描く」という実験が行われました。その結果、お尻に目を描くことがライオンによる襲撃を大幅に減らすことが示されました。
ウシのおしりに「目」を描くとライオンに食べられなくなるという実験結果 - GIGAZINE

今回ケリー氏らの研究チームは、カモメが屋外の人間から食べ物を奪うことが知られるコーンウォールの沿岸部で実験を行いました。実験では、「目のシールを貼り付けたテイクアウト容器」と、「シールを貼らなかったテイクアウト容器」を2m離して置き、カモメがどちらを選ぶのかを調査しました。
以下の画像は、左が「目のシールを貼り付けたテイクアウト容器」で右が「シールを貼らなかったテイクアウト容器」です。実験の結果、カモメは目のシールが付いたテイクアウト容器を敬遠し、目のシールがないテイクアウト容器と比べて近づくまでの時間が長く、つつかれる可能性が減りました。

また、カモメが時間経過につれて目のシールに慣れるかどうかも調べるため、30羽のカモメを対象に「目のシールを貼り付けたテイクアウト容器」と、「シールを貼らなかったテイクアウト容器」を3回ずつ見せる実験も行いました。すると、カモメの約半数はすぐに目のシールが貼られたテイクアウト容器をつつきましたが、残る半数はまったくつつきませんでした。この結果は、一部のカモメに対しては目の効果が長時間持続することを示唆するものです。
研究チームは今後、食品販売業者と協力して「目玉のついたテイクアウト容器」を使ってもらうよう依頼し、より現実的な規模で目のカモメ抑止効果を検証することを計画しています。すでに目玉模様は鳥を農作物や漁網、空港などから遠ざけるために用いられているとのこと。
なお、興味深いことに人間も他の動物と同様に目に反応することが知られており、目の画像が自転車盗難を減らしたり、協力関係を強化したり、寄付を増加させたりすることがわかっています。
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in サイエンス, 食, Posted by log1h_ik
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