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Googleのインターネットサービス「Google Fiber」に追い風となるルールをアメリカ連邦通信委員会が承認

by Pixabay

Googleは「Google Fiber」というブロードバンドインターネットサービス事業をアメリカの一部地域で提供しています。こうしたネットサービス事業への新規参入を後押するルールを、アメリカの連邦通信委員会(FCC)が承認しました。

FCC sides with Google Fiber over Comcast with new pro-competition rule | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2018/08/fcc-gives-google-fiber-and-new-isps-faster-access-to-utility-poles/

Google Fiberのような新規参入企業がインターネットサービスを提供するには、通信ケーブルを既存の電柱に新しく設置しなければなりません。ところが、電柱に新たなケーブルを接続するためには、すでにケーブルを設置している企業が自社のケーブルをズラし、新規参入企業が新規アタッチメントを接続する場所を空ける必要があります。


この準備段階の工事は関係する全ての企業が行わなければならず、場合によっては数カ月から数年にも及ぶ工事になるとのこと。Google Fiberは「既存のインターネットサービスプロバイダ(ISP)であるコムキャストAT&Tが新しいケーブル設置の工事にとても長い時間をかけるため、事業の展開が複数の都市で遅れている」と主張し、FCCに対して「One Touch Make Ready(OTMR)」というルールを承認するように要求しました。

OTMRは新規参入企業が既存のプロバイダが設置したケーブルを動かし、自分のケーブル用のアタッチメントを設置するスペースを確保できるというもの。コムキャストはこの要求を拒絶するようにFCCに求めましたが、「これは新規参入企業の利益になるものの、既存の企業に対してリスクを負わせるものではない」としてコムキャストの要請を却下しました。

by Tam Tam

FCCのアジット・パイ会長は「新規参入事業者が電柱の工事をするために、既存の企業が工事を終えるのを待たなければならないという状況は、新規参入企業の事業展開を不必要に遅らせてしまう」としており、OTMRルールの導入は必要なことだと述べています。

パイ氏によればOTMRの導入は、スマートフォン用のブロードバンド普及にも大きな利益をもたらすとしており、4Gに次ぐ新たなモバイル通信規格である5Gの導入を促進するとのこと。多くのキャリアが5G回線に対応すると、電柱の工事はますます頻繁に行われるだろうと予測されています。

一方、OTMRは私人が所有する電柱の工事にのみ適用されるものであり、地方自治体が所有する電柱の工事では適用されません。また、そもそもFCCが定める電柱工事の規制に反対している20の州とワシントンD.C.では、FCCによるルールの導入は関係ないため、アメリカ全土で適用されるわけでもありません。また、Google Fiber自体にも人員の削減や事業拡大の抑制といった問題が発生しており、スムーズにGoogle Fiberの導入が進むとは考えにくいそうです。

by Caio Resende

OTMRルールについては過去に自治体が独自にルール導入を検討した事例がいくつか報告されており、テネシー州ナッシュビルでOTMRルールが導入された時には、コムキャストとAT&Tが裁判を起こして撤回させることに成功しましたが、ケンタッキー州ルイビルジェファーソンで導入されたOTMRルールについては、コムキャストとAT&Tが敗訴していると報じられています。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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