乗り物

GMがユーザーの同意を取らずに運転データを勝手に販売し保険料が釣り上がっている実態が判明


ゼネラルモーターズ(GM)がユーザーの運転データをデータ収集企業に販売していたことが、ニューヨーク・タイムズのカシミール・ヒル記者の調査によって判明しました。販売されたデータは保険会社によって参照され、保険料の決定などに使われていたそうです。

Florida Man Sues G.M. and LexisNexis Over Sale of His Cadillac Data - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/03/14/technology/gm-lexis-nexis-driving-data.html

How G.M. Tricked Millions of Drivers Into Being Spied On (Including Me) - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/04/23/technology/general-motors-spying-driver-data-consent.html

ヒル氏は自動車メーカーによるデータ収集の実態を調査しており、2024年3月にはGM・ホンダ・起亜・ヒョンデなどの自動車メーカーがユーザーの許可なく運転データを収集していた実態を明らかにしていました。新たに、ヒル氏はキャデラックの所有者や自身の体験を元に、GMによるデータ収集の実態を報じました。

GM・ホンダ・起亜・ヒョンデなどのメーカーが運転データを明確な同意なく保険会社と共有していて保険料見直しに利用されているという指摘 - GIGAZINE


ヒル氏が報じたキャデラックユーザーの体験は次の通り。キャデラック XT6の2021年モデルを所有していたロメオ・キッコ氏は、2023年12月に自動車保険の更新のために複数の保険会社に見積もりを依頼しました。しかし、7社の保険会社が見積もりを拒否するなど保険会社選定作業は難航。最終的に更新前の2倍の保険料で契約することとなりました。

キッコ氏が保険会社「Liberty Mutual」に対して見積もり拒否の理由を尋ねた結果、データ収集会社「LexisNexis」のデータを参照した結果であると伝えられます。キッコ氏がLexisNexisに自分のデータを開示するように要求したところ、過去6カ月分のキャデラック XT6の運転データが開示されました。開示された情報には258回分の運転データが含まれており、「運転した距離」「運転開始時間および終了時間」「速度」「急ブレーキ」「加速」「スピード違反の回数」などが記録されていたとのこと。また、キッコ氏の運転データはキャデラックを展開するGMから送信されていたことが明らかになりました。

キッコ氏がGMに問い合わせた結果、運転データはGMのコネクテッドカー関連サービス「OnStar」を介して送信されていたことが判明しました。しかし、キッコ氏はキャデラックの自動車管理アプリ「myCadillac」は利用していたものの、OnStarの利用に同意したことはありませんでした。つまり、キッコ氏のデータはキッコ氏が気付かないうちにOnStarを介してLexisNexisに販売され、そのデータが保険会社と共有されていたというわけです。


GMによるデータ収集の実態を調査してきたヒル氏もまた、GMによって勝手に運転データを販売されていたことが明らかになりました。

ヒル氏は2023年12月にシボレー ボルトEVの2023年モデルを夫と購入したとのこと。ヒル氏が自身と夫の名前でLexisNexisにデータの開示を請求したところ、夫の名前と関連付いた愛車の運転データがLexisNexisに送信されていたことが判明しました。一方で、ヒル氏の名前と関連付いた愛車のデータは記録されていなかったとのこと。ヒル氏は車の購入時に夫の名前で契約したことが原因だと推測しています。


ヒル氏がGMに問い合わせた結果、GMは「車の購入契約時にデータ収集に同意していた」と主張。ヒル氏は長期間にわたってGMのデータ収集の実態を調査してきたため、車の購入時には細心の注意を払いながら契約書を確認し、データ収集に関する条項が含まれていないかをチェックしていました。このため、ヒル氏は「契約書の条項に常に目を光らせている私がこのよな事態に遭遇するということは、一般的な消費者にとっては(データ収集の拒否は)絶望的だったということを示しています」と述べています。

さらに、ヒル氏は車の購入時に交渉したセールスマンに事態の説明を要求。その結果、セールスマンがヒル氏の車をOnStarに登録していたことが明らかになりました。セールスマンによると、GMはディーラーに対して車の契約時に以下のような画面をユーザーに見せ、OnStarへの登録に同意させるように求めているとのこと。しかし、ヒル氏は当該画面を見せられていなかったそうです。


また、セールスマンは「ユーザーをOnStarに登録させる」ということが給与査定に組み込まれていると証言。つまり、GMはディーラーに対してOnStarへの登録をノルマとして課しているわけです。

なお、GMの広報担当者はOnStarへのデータ送信を無効化する手法として「OnStarのアドバイザーに連絡する」「OnStarのカスタマーセンターに問い合わせる」といった方法を案内したとのことです。

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in 乗り物, Posted by log1o_hf

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