ハードウェア

グラボの交換も可能なモジュール交換式PC「Framework Laptop 16」の海外レビューが登場


モニターやキーボードなどの各種パーツがモジュール化されており、簡単にパーツをアップグレードしたり、故障したパーツを交換修理したりすることが可能なモジュール交換式ノートPCを開発するFrameworkが、グラフィックボード搭載のハイスペックモデル「Framework Laptop 16」を2023年3月に発表しました。そんなFramework Laptop 16を実際に使用したレビューを、海外メディアのThe Vergeが公開しています。

Framework Laptop 16: our exclusive hands-on - The Verge
https://www.theverge.com/22665800/framework-laptop-16-hands-on-preview-modular-gaming-laptop

Framework Laptop 16は2023年の第4四半期(10~12月)に出荷予定のモジュラー交換式ノートPCです。シリーズ初のグラフィックボード搭載モデルで、メモリやストレージだけでなく、各種I/Oポート、マザーボード、バッテリー、スピーカー、ディスプレイなどほぼすべてのパーツを簡単に取り外して交換することができます。

入力モジュールはキーボードモジュールとテンキーモジュール(2サイズ)で構成されており、ユーザーは好みに合わせてテンキーレスのキーボードにしたり、テンキーを配置したりと自由にキーボードをカスタム可能。キーボードモジュールはバックライト付きのものを選んでゲーミングPC風の見た目にすることもできます。


I/Oポートは以下のように簡単に取り外し可能。


The Vergeは「2021年にFrameworkが初代Framework Laptop 13をリリースした際、我々は少し懐疑的でした。パーツを交換することでアップグレード可能なノートPCの価値は『将来のサポートに左右される』と感じたためです。しかし、2022年にFramework Laptop 13のCPUアップグレードがリリースされたことで、モジュール交換式PCというコンセプトがついに実現したように感じました。DellやLenovoも同じようなモジュール交換式PCの開発を進めていますが、Frameworkはすでにこれを実現しています」と記し、Frameworkがこれまですでに優れたモジュール交換式PCをリリースしてきたと言及。

加えて、Framework Laptop 16はこれまでのモデルよりもさらにモジュール化されているとThe Vergeは指摘しています。キーボード下部のトラックパッドなどがあるエリアを取り外すと、入力モジュールの取り外しが可能となります。実際にキーボードにアクセスするまでの様子は、以下の画像をクリックすると再生されるGIF画像でチェック可能。


Framework Laptop 16最大の特徴はグラフィックボードを取り外し可能な拡張ベイシステムです。拡張ベイシステムでは8GBのGGDR6メモリ(転送速度18Gbps)と100Wの電力を搭載したRadeon RX 7700Sを取り付けることが可能。


さらに、2023年後半には拡張ベイシステムから追加のSSDを1組取り付けることが可能となる模様。なお、Frameworkのニラフ・パテルCEOは、Framework Laptop 16について「会社設立前からの夢だった」と語っています。

以下の画像の上がグラフィックボードで、下がデフォルトの拡張ベイシステム。拡張ベイシステムにはデフォルトでCooler Master製の75mmファンが1組付属しており、これはGPUだけでなくPC全体を冷却するためのものとなっています。そのため、拡張ベイシステムにはCPUから発生する熱をファン付近へ誘導するためのヒートシンクも存在します。


ただし、The Vergeは「グラフィックボードモジュールのファンが壊れてしまったため、どの程度上手く冷却機構が機能するかについては全く説明することができません。冷却不足であったためシステムが自動的にCPUスロットルを開始し、エルデンリングは数分間しかスムーズにプレイすることができませんでした」と記しており、冷却システムが正しく機能するかについては未知数であるとしています。


拡張ベイシステムはFramework Laptop 16本体の背面から底面にかけてぶら下がるように存在しており、グラフィックボードを追加することで本体サイズは厚みが3mm、奥行きが20.2mm、重さは0.3kg分増加することになります。

また、Framework Laptop 16の採用しているインターポーザー・ブリッジは、8つのPCIeレーンとファン信号を伝送するだけでなく、理論的には最大210Wまでの電力供給に対応しているそうです。


ただし、Frameworkはグラフィックボードのアップグレードについてかなり慎重にコメントしており、The Vergeがグラフィックボードのアップグレードについて6回質問してようやく「我々はグラフィックボードのアップグレードに特化してFramework Laptop 16を設計しました。発売以降もグラフィックボードモジュールが使えるようにすることを約束します」「我々はモデルのアップグレードに取り組んでいます。コストやエンジニアリング面の膨大な努力により拡張ベイシステムが完成しました。これがなければ製品を作る意味がないので、これを放棄するつもりはありません」とコメントしたそうです。

AMDも「Frameworkの将来の製品に投資しています」と述べていますが、グラフィックボードのアップグレードについてはコメントを避けており、「テクノロジーは予期せず変化する可能性があるため、弊社が絶対的な保証をすることはできません」と説明しています。


なお、Dellはモジュール交換式PCをめぐり訴訟を提起されているため、FrameworkとAMDがグラフィックボードのアップグレードを約束できない理由も「法的な理由によるものかもしれない」とThe Vergeは指摘しています。

The Vergeは「Framework Laptop 16が存在するという事実に驚いています。このマシンにはモジュール部品が多くあるため、理論的に問題が発生する可能性も非常に高く、他の企業はそういった問題に対処することが困難であるためモジュール交換式PCの開発を放棄しています」「Framework Laptop 16はがっかりする可能性のある高価なマシンです。ただし、Frameworkはこのコンセプトを実現できる数少ない企業のひとつだと思います。パテルCEOとそのチームがこれを実現してくれることを心から願っています」と記しました。これに加えて、AMDは「Frameworkが成功すれば高性能ノートPCの大きな転換点になる可能性がある」と述べています。


「Framework Laptop 16」は、自身の手で組み立てるDIY Editionが1399ポンド(約25万2000円)、あらかじめ組み立て済みのPre-builtが1699ポンド(約30万6000円)で予約受付中です。

Framework | Choose Framework Laptop 16 DIY Edition (AMD Ryzen™ 7040
https://frame.work/gb/en/products/laptop16-diy-amd-7040

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
パーツの交換・修理が簡単にできるモジュール交換式PCのFrameworkから初のグラフィックボード搭載のハイスペックモデルが登場 - GIGAZINE

パーツの交換が可能な自作ノートPC「Framework Laptop」に第12世代Intel CPU搭載の新バージョン登場、前モデル所有者向けのアップグレードキットも半額で提供 - GIGAZINE

自分で修理&アップグレード可能なノートPC「Framework Laptop」にChromebook版が登場、価格は999ドル - GIGAZINE

自作できるノートPCの「Framework Laptop」はファームウェアまで自作可能 - GIGAZINE

パーツの交換・修理が簡単に行えるモジュール交換式ノートPC「Framework Laptop」が登場 - GIGAZINE

in ハードウェア, Posted by logu_ii

You can read the machine translated English article here.