メモ

アマチュア建築家が約230億円を寄付して「この通りに建てて」と寮の設計図を提供、大学お抱えの建築家が抗議のため辞任


アメリカ有数の名門大学として知られるカリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の学生寮の新規建設を巡って、「投資の神様」と呼ばれたウォーレン・バフェット氏の右腕として知られるチャーリー・マンガー氏が設計図通りに寮を作ることを条件に2億ドル(約230億円)を寄付しました。しかし、提供された設計図には寝室の94%に窓がないなどの問題点があることから、同大学の建築デザイン検討委員会に15年間在籍した建築家が「建築家としても親としても、そして一人の人間としても支持できない」と抗議のため辞任しました。

Architect Resigns in Protest over UCSB Mega-Dorm - The Santa Barbara Independent
https://www.independent.com/2021/10/28/architect-resigns-in-protest-over-ucsb-mega-dorm/

インフレが長引くと予想されるアメリカでは不動産価格が上昇し続けており、特に西海岸の不動産価格は手が付けられないほどの値上がりをみせています。カリフォルニア州南部に位置するサンタバーバラは不動産価格の高騰が特にひどい地域だと言われており、一説によるとUCSBに在籍する学生・職員計1万4000人が市外からの通学・通勤を余儀なくされています

こうした状況の中、新たにウォーレン・バフェット氏が会長を務める投資持株会社バークシャー・ハサウェイの副会長として知られるチャーリー・マンガー氏が、アマチュア建築家としての立場から「設計図通りに寮を作る」ことを条件にUCSBに対して2億ドル(約230億円)を寄付しました。UCSBでは約38%の学生が寮に住んでいるとされるほど寮の役割が大きく、同校のヘンリー・ヤン学長は「マンガー氏の寛大さには圧倒されることこの上ない」と謝辞を述べました。

この設計図で示された寮の一区画はこんな感じ。8部屋の個室と、キッチン・リビング・トイレ・シャワールームが各1つずつで構成されます。


1階層は上記の区画8つで構成され、居住階は計9階層。寮全体は敷地面積168万平方フィート(約15.8平方キロメートル、4.7万坪)の11階建てで、収容人数は4500人とのこと。


しかし2021年10月25日、15年間にわたって同大学の建築デザイン検討委員会に在籍してきた建築家のデニス・マクファデン氏が抗議のため辞任すると表明しました。マクファデン氏によると、この設計図に従うと個室の94%には窓が存在しておらず、「自然光、空気、自然への眺めにアクセスできる内部環境が、居住者の心身の健康を改善すると示す十分な量の証拠が存在する」という理由から今回辞任を表明したとのこと。

個室のイメージ図が以下。ベッド上部に存在するのは「偽の窓」とのこと。


問題の設計図に基づく寮の新規建設計画のプレゼンテーションでは「デザインは100%完成していると説明され、承認も投票も求められなかった」とのことで、マクファデン氏は同委員会から身をひかざるを得ないと感じたとコメント。同氏が委員会に在籍していた15年という歳月の中でも類を見ないような大型プロジェクトにもかかわらず何ら意見を求められることがなかったため、委員会の存在意義が疑われたと語りました。

UCSBの広報担当者はマクファデン氏の辞任に対し、同氏のこれまでの貢献には感謝しているが問題の建設計画は計画通りに進められる予定だと回答。「プロジェクトと設計は、計画通りに進められています。我々は、この変革をもたらすプロジェクトを推進できることを嬉しく思います」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
日本最古の現役学生寮、京都大学・吉田寮の住人に「寮を追い出されようとしている本当の理由は何なのか?」を聞いてきました - GIGAZINE

元予備校の寮を改築したデザインホテル&シェアハウス「アンテルーム 京都」に宿泊しました - GIGAZINE

ナイトライダーの曲に合わせて大学の寮棟の窓を光らせてアニメーション - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.