サイエンス

ファイザーの新型コロナワクチンは肥満の人には効果が薄い可能性がある


イタリアの総合病院であるIstituti Fisioterapici Ospitalieriの研究者チームが、肥満の人は健康な人に比べてファイザーの新型コロナウイルスワクチンの効果が半分程度しかないとする研究論文を発表しました。この論文は記事作成時点でまだ査読が行われていませんが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンに関連する新たな問題が発生するかもしれないことが示唆されています。

OBESITY MAY HAMPER SARS-CoV-2 VACCINE IMMUNOGENICITY - 2021.02.24.21251664v1.full.pdf
(PDFファイル)https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.02.24.21251664v1.full.pdf

Pfizer vaccine may be less effective in people with obesity, says study | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2021/feb/28/pfizer-vaccine-less-effective-obesity-study

ファイザーとバイオテクノロジー企業「BioNTech」が共同開発した「BNT162b2」はメッセンジャーRNAを使用したワクチンであり、開発段階から新型コロナウイルス感染症に対して90%以上の予防効果があるとされてきました。このワクチンはアメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を受けた3つのワクチンの内の1つで、必ず2回接種する必要があります。

Istituti Fisioterapici Ospitalieriでは248人の医療従事者に対してファイザー製ワクチンが2回投与されたため、研究チームは2回目の投与から7日後の抗体反応を調査しました。その結果、WHOの基準でBMIが30以上の「肥満」の人は、健康体の人に比べて抗体の量が約半分しか検出されなかったとのこと。

発表された論文には「さらなる研究が必要ですが、研究がより大規模なデータによって実証された場合、肥満の人には追加のワクチンを投与するといった新たな戦略が必要になってくるでしょう」と記されています。


またノースカロライナ大学チャペルヒル校のバリー・ポプキン氏らが行った研究では、肥満の人は新型コロナウイルスのワクチンで入院するリスクが健康な人に比べて113%で、死亡リスクは48%増加することも明らかになっています。

肥満は新型コロナの死亡リスクを50%高めるという研究結果 - GIGAZINE


肥満の人は心臓病や2型糖尿病など、新型コロナウイルスによる症状悪化のリスクを高める疾患を抱えている可能性があるほか、肥満はインスリン抵抗性や炎症などを引き起こし、体が感染症と闘うことを困難にします。


上記のような症状はワクチン接種後の抗体反応を弱める可能性があります。デューク大学のスコット・ネイディッチ氏らが行った研究では、インフルエンザワクチンも肥満の人には効果が薄いことが示されています。

インペリアル・カレッジ・ロンドンのダニー・アルトマン氏は「肥満の人が多い国では、既存のワクチン接種プログラムを適用し続けても効果が薄い可能性があり、長期にわたって抗体反応などを観察する必要があります」と述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ファイザーの新型コロナワクチンの有効性は「94%」だと120万人を対象とした研究で判明 - GIGAZINE

「妊娠中や授乳中でも新型コロナワクチンの接種を受けていいの?」など3つの質問に医学部教授が回答 - GIGAZINE

有望な新型コロナワクチンの試験結果について掘り下げる6つの質問とは? - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.