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TikTokが「TikTok禁止の大統領令」を批判、法的手続きを講じる可能性も


現地時間の2020年8月6日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が中国発のショートムービープラットフォームである「TikTok」およびコミュニケーションアプリ「WeChat(微信)」が関わる取引をアメリカ居住者が行うことを禁止する大統領令に署名しました。TikTokはこの大統領令に対する声明を出し、アメリカ政府の強引なやり口を批判。さらに、法的手続きを講じる予定であると報じられています。

Statement on the Administration's Executive Order - Newsroom | TikTok
https://newsroom.tiktok.com/en-us/tiktok-responds

TikTok To Sue Trump Administration On President's Executive Order Ban : NPR
https://www.npr.org/2020/08/08/900394707/tiktok-to-sue-trump-administration-over-ban-as-soon-as-tuesday?t=1596927736815

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官はTikTokの運営元であるByteDanceを「HuaweiやZTEと同様に中国政府を支援するテクノロジー企業」と評価しており、TikTokを「中国の諜報機関向けのトロイの木馬として機能している」と説明したことがあります。このようにTikTokは中国発のアプリということで、「セキュリティ上の懸念がある」とアメリカ政府から疑いの目を向けられてきました。

そんなTikTokのアメリカでの事業をMicrosoftが買収しようとしています。トランプ大統領が「アメリカ国内でのTikTok禁止を検討している」と発言した後も、Microsoftは買収交渉を継続しており、2020年9月15日までに買収交渉を完了させると述べています。

トランプ大統領による「TikTok禁止」発言以降もMicrosoftはTikTokの買収交渉を継続中 - GIGAZINE


その後、2020年8月6日にトランプ大統領は正式にTikTokをアメリカ国内で禁止するための大統領令に署名しました。これに対してTikTokは、「新しい大統領令に衝撃を受けました。我々は1年近くの間、表明されてきた(セキュリティ上の)懸念に対して建設的な解決策を提供するために、誠実にアメリカ政府と協力するよう努めてきました」とコメント。さらに、「代わりに我々が遭遇したのは、政権が事実に注意を払わず、正規の法的手順を経ず、(買収)合意の条件を定め、民間企業間の交渉に割って入ろうとしていることです」と述べ、アメリカ政府側の強引なやり口を批判しています。

加えて、TikTokは「我々は適切な関係者と協力し、ユーザー・クリエイター・パートナー・従業員に対して、アメリカの広いコミュニティに利益をもたらすためのソリューションを考案する意図を明確にしてきました。しかし、アメリカ政府の大統領令には適切な手続きや法律の遵守はありませんでした。そして、大統領令を出すに当たってリリースされたテキストは、引用なしの出所不明の報道などに依存しています」と記し、根拠のない批判をベースに正式な手続きを経ずに出された大統領令に疑問を呈しました。


また、TikTokは「TikTokがユーザーデータを中国政府と共有したことはなく、要求に応じてコンテンツの検閲を行ったということもありません。実際、TikTokのモデレートガイドラインやアルゴリズムのソースコードは、当社の透明性センター上でチェックすることができます。これは他の企業が守っていないレベルの説明責任を果たしているといえます」と述べ、中国企業とのつながりを否定し、一般的な企業以上に情報開示を行うことで透明性を保っていると主張しています。

さらに、TikTokは「アメリカ企業へのアメリカ事業の完全売却を進めるための意欲さえ表明しています」とも述べました。


「今回の大統領令は法の支配に対するアメリカのコミットメントに対するグローバル企業の信頼を損なう恐れがあります。グローバル企業がアメリカに対して抱く信頼は、投資を引きつける要因となり、数十年にわたってアメリカ経済の成長に拍車をかけてきました」「法の支配を守り、会社とユーザーが公平に扱われるようにするためにも、利用可能なすべての救済策を追求します。それは行政機関だけでなくアメリカの裁判所に対してもです」と述べ、法的手続きを講じる可能性も示唆しています。

加えて、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)は「TikTokが火曜日(2020年8月11日)にも連邦裁判所で訴訟を起こす」と報じています。NPRはTikTokの法的手続きに直接関わっているという人物から情報を得たそうですが、その人物は「会社に代わって発言する権利がない」ということで匿名の情報筋とされています。なお、訴訟はTikTokのアメリカ事業の拠点となるカリフォルニア州南部地区連邦地方裁判所に提起される予定とのことです。

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in モバイル,   ソフトウェア, Posted by logu_ii

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