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セルフパブリッシング(自己出版)がここ5年間で約4倍に増加

By Emily Carlin

著者が自分で書籍を制作して販売する「セルフパブリッシング(自己出版)」で出版された書籍が、2006年から2011年までの5年間で約4倍に増加しているというリポートを出版市場調査会社バウカーが発表しました。この数字は印刷された本と電子書籍(eブック)を合わせたもので、特に電子書籍の伸びは著しいものがあります。

Bowker - Self-Publishing Sees Triple-Digit Growth in Just Five Years, Says Bowker®



2007年にAmazonは電子書籍リーダー「Kindle」を発売しましたが、これと同時にスタートしたのが誰でも無料で電子出版が行える「デジタル・テキスト・プラットフォーム(DTP)」というサービス。従来から著者が費用を負担して本を作る「自費出版」はありましたが、こちらは「著者から料金を得て本を作る」という出版社によるビジネスの側面が強く、著者と出版社との間でのトラブルも頻繁に報告されていました。しかし、Amazonは原稿さえあればISBNコード取得費を除くと手数料不要で電子出版ができ、売れたときだけマージンを支払うという仕組みで、セルフパブリッシングに風穴を開けました。

バウカーによると、アメリカの国内で2011年に自己出版された出版物(書籍+電子書籍)の数は23万5000タイトルで、2006年比で287%増加しています。ジャンルとしては書籍、電子書籍ともに増加しており、伸び率は特に電子書籍で著しくなっています。


2011年に自己出版された書籍のタイトル数はバウカーの調査によると14万8424。これは書籍全体の43%にあたります。また、自己出版書籍のうち63%にあたる8万7201タイトルが電子書籍ですが、これは2006年比129%増。印刷は2006年比33%増なので、電子書籍は文字通り桁違いの成長を見せているというわけです。この自己出版の広がりは2007年以来の動きだとのことで、AmazonによるDTPサービスの開始がどれほどの影響を与えたかを示しています。

前述の自費出版ビジネスのイメージもあって、あまり主流ではないものに感じるセルフパブリッシングですが、実際は一握りの大手企業が構成しています。

たとえば、2011年自己出版書籍(印刷本)シェア1位のCreateSpaceは5万8412タイトルの書籍を出版。これは自己出版書籍のうち39%にあたります。自己出版電子書籍シェア1位のSmashwordsは4万608タイトルが電子出版。こちらは自己出版電子書籍全体の47%にもあたります。このほか、Author Solutionsが書籍と電子書籍あわせて4万7094タイトル、同様にLulu Enterprisesが3万8005タイトルを出版していて、上記4社でシェアの90%を占めています。

年間出版数が10タイトル以下の場合は小規模出版社に分類されますが、ここに分類される会社のタイトルは合計で3万4107タイトル(書籍2万1256、電子書籍1万2851)となっています。2006年から2011年の間に、書籍に関しては小規模出版社のタイトル数も74%増加しているのですが、同期間にCreateSpaceは1702%増加しています。

「自己出版は今や最先端でカンタンに本を入手可能な構造に支えられています」とバウカーのBeat Barblan氏はコメント。「出版は今までにないレベルで、誰かと話を分かち合いたいと考えている作家候補の人間に対して公平に提供されています。もはや専門出版社だけのものではなく、自己出版は本屋の隅っこのコーナーから、主流に進出してきているのです。わかりやすいサクセスストーリーでいえば、例えばニューヨークタイムズに載っている電子書籍のベストセラーリストに自己出版で本を出した著者の名前が載ったりしているのです」

自己出版している著者たちにとって、次に課題となってくるのはインフルエンサー(広めてくれる人)に届けるためにはどうすればよいかという点ですが、バウカーの消費者指向調査によれば、ネット上に抜粋を掲載したり、カスタマーレビュー、本屋によるオススメなどを利用すれば、より多くの読者に効果的に届けることができるとのこと。

なお、海外でこのセルフパブリッシングを実際に行う方法を具体的に解説した「私にはもう出版社はいらない~キンドル・POD・セルフパブリッシングでベストセラーを作る方法~」というのもあり、昨日から日本でも予約が始まったAmazonのKindleと相まって、日本でもこの流れが加速すると予想されます。

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in メモ, Posted by logc_nt

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