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VAIO type Pのハードウェア再生支援機能で本当にHD動画がスムーズに再生できるかどうか、いろいろと試してみた


1月16日から発売が開始された「VAIO type P」にはIntel SCH US15Wに統合されたグラフィックス機能「Intel GMA 500」が持つハードウェア・ビデオデコード・アクセラレーション、要するにハードウェアデコーダによる再生支援機能がついており、H.264/MPEG2/VC1/WMV9のHDサイズムービーをCPU負荷を上げることなく再生できる……はずなのですが、実際には特定のソフトウェアとムービーの組み合わせ(例:Windows Media Player+WMV9など)でないとこの再生支援機能がまともに動作しません。そのため、HD画質でH.264を使っているムービーを再生するとカクカクするとか、音ズレするとか、いろいろとダメな感じになってしまいます。

しかしこのままあきらめるのもアレなので、Windows Media Player 11・DivX Player 7・Media Player Classic Home Cinemaなどの各種プレイヤーで再生できるかどうかがんばってみました。

各ソフトの組み合わせ結果とその際に使用したサンプルムービー、そしてテスト結果は以下から。
今回使用したのはVGN-P70H。CPUはIntel Atom CPU Z540(1.86GHz)、メモリは2GB。


今回は全テストをコントロールパネルの電源オプションから「高パフォーマンス」に設定して行いました。


また、VAIOに最初から搭載されている各ソフトウェアの常駐をとにかく切ってオフにしまくりました。特に自動的にバックグラウンドでメディア解析を行うサービスやVista標準のインデックス自動作成サービスなどは起動し始めるとCPUを食いまくるのでオフにしました。あと、アンチウイルスソフトウェアのMcAfeeはアンインストールしています。


今回ポイントとなるのはIntel SCH US15Wに統合されたグラフィックス機能「Intel GMA 500」。インテル・グラフィックス・メディア・アクセラレータの略ですね。


まずはWMV9から検証してみましょう。

■WMV9でフルHDの場合
WMV9の場合はHDサイズで再生できるように動画再生支援機能が有効になりやすく、一番効果がカンタンに実感しやすいです。

・使用したムービー
Microsoft Windows Media Player : WMV 高精細コンテンツ ショーケース」にある「Robotica」の1280×720 (720p)1920×1080 (1080p)の2種類を使いました。いずれも24fpsです。


また、「Gametrailers.com - Ninja Blade - TGS 08: Extended Trailer HD」にある「Ninja Blade - TGS 08: Extended Trailer HD(WMV 720p - 49.1MB)」を使いました。


・使用したプレイヤー
Vistaに付属している「Windows Media Player 11」を使いました。デフォルト設定で動画再生支援機能が有効になっています。

・テスト結果
WMP11+Robotica_720p(WMV9):再生問題なし、CPU使用率は20%~26%程度で推移


WMP11+Robotica_1080p(WMV9):再生問題なし、CPU使用率は22%~29%程度で推移


WMP11+Ninjablade_720p(WMV9):再生問題なし、CPU使用率は20%前後で推移


・結論
WMP11+WMV9の組み合わせはおそらく鉄板です。なぜか音が再生できなかったのでここからは外したのですが、AMDのページに置いてある「AVCHD形式のサンプル映像」(H.264形式で1920×1080、拡張子はmp4)も動画再生支援機能が有効になり、WMP11で軽快に再生できました。WMP11が認識できるファイル形式であれば割とスムーズにHD動画再生ができるというわけ。

■H.264(QuickTime 7 Player)の場合
映画の予告編の場合、高画質なので前述したWMV9形式とこのH.264形式がよく使われるわけですが、今回試すのはQuickTime 7 Playerで採用されたH.264形式です。

・使用したムービー
Apple - Movie Trailers - X-MEN Origins Wolverine」にある480pのムービーと720pのムービーを使いました。


・使用したプレイヤー
QuickTime 7 Playerの「7.55.90.70」を使用しました。


・テスト結果
QT7+wolverine480p(H.264):動きのあるシーンでところどころカクカクして段々と音ズレ(1秒程度)発生+プチプチ音、CPU使用率は40%~50%


QT7+wolverine720p(H.264):最初からカクカク+正視に耐えないレベルでまさに論外、CPU使用率は40%~70%にまで達する


・結論
480pならなんとか再生可能。720pは無理。CPUはさほど使っていないのにQuickTime 7 Playerだとクソ重いこの現象は明らかにおかしい。よく考えるとQuickTime 7 Playerの設定自体にハードウェアデコーダによる動画再生支援機能が一切見あたらないので、そもそもそういう機能がない……のでしょうか?ヘルプなどを読んでも一切書いていないので、動画再生支援機能はないと考えて良いのではないかと。つまり使えない。フルHDはテストするまでもなく無理です。

■H.264(DivX Player 7)でHDの場合
ついに登場した「DivX 7」はH.264を採用しており、.mkv拡張子を持つ新しいDivX Plus HDビデオというのを実現しています。しかも聞くところによるとこのDivX 7のH.264デコーダーはあのCoreAVCに匹敵するレベルでかなり軽いらしい。

・使用したムービー
DivX 7 Showcase | DivX.com」にある「Terminator Salvation(ターミネーター4)」の720pムービーを使いました。


・使用したプレイヤー
最新のDivX 7をインストールしたら付属していた「DivX Player 7」を使いました。

・テスト結果
DivX Player 7+TerminatorSalvationTrailer720p(H.264):最初からカクカク+正視に耐えないレベルでまさに論外、CPU使用率は70%~100%にまで達して再生不能に……


・結論
新型のDivX PlusのHDムービーはどれもこれも再生できません。本当にDivX 7のH.264デコーダー効いてるの……?

■H.264(MPC-HC)でHDの場合
いくらなんでもおかしいだろうということで、Media Player Classic Home Cinema(MPC-HC)ffdshow tryoutsの組み合わせで挑戦することにしました。

・使用したムービー
先ほどと同じく「DivX 7 Showcase | DivX.com」にある「Terminator Salvation(ターミネーター4)」の720pムービー(1280×528)を使いました。

・使用したプレイヤーとコーデック
MPC-HC v1.2.908.0」と「ffdshow_beta6_rev2527_20081219.exe」を使いました。ちゃんとVistaで再生するために「EVR」はオンにしてあります。

・テスト結果
MPC-HC+ffdshow(H.264)+TerminatorSalvationTrailer720p(H.264):多少音ズレがあるが映像自体は再生可能に。画像キャプチャし忘れたのですが、CPU負荷は90%程度でした。

・結論
QuickTimeなどに比べればはるかにマシですが、ちょっとキビシイという微妙なレベル。あまり動きの激しくないものならたぶん問題がないのかもしれません。あと、前述したように常駐するソフトを切って切って切りまくっている環境なので、何かちょっとでもCPUを食うソフトがバックグラウンドで動き始めたらアウトです。ちょっと非現実的。

■再生可能な組み合わせ
現時点では以下のようになっています。「プレイヤー+動画形式=結果」の順にしています。

・WMP11+WMV9=◎(フルHDも再生可能)
・QuickTime7+H.264=×(無理)
・DivX 7+H.264=×(無理)
・MPC-HC+H.264=△(HDならいけるかも、フルHDは無理)

なお、ソニー提供の「VAIO type Pの動画再生性能におけるテスト結果」の表が以下のページに掲載されています。ちょっと悲惨。


真の実力が明らかに:これは理想の低価格ミニノートPCなのか!?――「VAIO type P」徹底検証(後編) (4/6) - ITmedia +D PC USER

こうなってくると問題になってくるのがMPC-HCと各種コーデックの組み合わせ。MPC-HCでCoreAVCとDivX 7のH.264デコーダを明確に指定してみればいけるのではないか?ということです。結論から言うと、「HDなら再生できるがフルHDは無理」でした。

しかし、まだあきらめるのは早い。そう、動画再生支援機能が有効になるような組み合わせであれば、フルHDのH.264でも再生できるはず、いや、再生できるに違いない。

というわけで、次はフルHDサイズ(H.264+AAC、1920x1080)のムービーを再生させる方法です。

・つづき
VAIO type PでフルHDサイズ(H.264+AAC、1920x1080)のムービーを低いCPU負荷でぬるぬる再生する方法

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in レビュー,   ソフトウェア,   ハードウェア, Posted by darkhorse

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